もう我慢しない。介護職員を守るカスハラ対策と新法のポイント

介護

こんにちは、hiroです。

今回は「カスタマーハラスメント(カスハラ)」について解説します。
一般企業ではすでに広く問題視されており、店頭やオフィスで「カスハラ防止ポスター」を目にすることも増えました。
しかし実は、介護業界でも深刻な問題となっています。

この記事では、介護施設でのカスハラ対策の実態と、現場でできる対応方法を詳しく紹介します。


カスタマーハラスメントとは?

「カスタマーハラスメント(Customer Harassment)」とは、
利用者や家族などの顧客が、職員に対して不当な言動や要求を行うことを指します。

暴言、威圧的な態度、過度なクレーム、人格否定なども含まれ、明確な人権侵害行為です。

2025年6月4日、国会でカスハラ対策を雇用主に義務付ける法律が可決・成立しました。
この法律では、事業主がカスハラ対策を「雇用管理上の措置義務」として行うことを求めています。
違反した場合、助言・指導・勧告・公表などの対象となり、早ければ2026年10月頃に施行される見通しです。

長年「見て見ぬふり」が横行してきた介護業界にとっては、大きな転換点です。


職員がまず大切にすべきこと

  • 一人で抱え込まないこと
  • 上司や同僚、必要であれば行政にも相談すること
  • 相談を受けた側は、親身に耳を傾ける姿勢を持つこと

これらの基本の上に、「コンプライアンス(法令順守)」の意識が大切になります。
コンプライアンスは「縛り」ではなく、「自分たちを守る盾」にもなるのです。


事例:デイサービスで補聴器を紛失した場合

利用者が補聴器を紛失し、家族が弁償を求めてきたとします。
この場合、施設側の過失が立証されない限り、弁償義務はありません。

感情的に謝罪や弁償をしてしまうと、訴えがエスカレートする場合もあります。
冷静かつ毅然と対応し、記録を残すことが重要です。


施設としての基本的な対策

  1. ルールを明文化する
    • CH(カスハラ)に関する対応方針を文書化する。
  2. ルール通りに対応する
    • 個人判断ではなく、組織として動く。
  3. 記録を残す
    • 発言・状況・対応内容を時系列で残す。

利用者からのハラスメント対応

職員がCHを受けたと感じた場合は、まず上司へ相談
加害側(利用者や家族)は、自分の言動がCHだと認識していないこともあります。
そのため、冷静に説明し、行為をやめるよう申し入れることが第一歩です。

改善されない場合は、最終的に契約解除も検討します。
ただし、契約解除には証拠が必要です。
そのためにICレコーダーや録音アプリの利用は有効です。
秘密録音も、合法です。


契約解除の難しさと現実

特別養護老人ホームは「最後の砦」と言われるため、
弱者である利用者を一方的に契約解除するのは現実的に難しいケースが多いです。

弁護士によると、CHがあっても認知症などの要因で責任能力が問えない場合、
「CHとは認定されない」こともあるそうです。

簡単な見極め方は、

「言葉のキャッチボールが成立するかどうか」
だといわれています。

認知症だから許されるわけではありませんが、責任を問うことは困難なのが現状です。


明日から現場でできること

  • 「これはCHかも」と思ったら、すぐに相談する
  • 相談を受けたら、真剣に聞く
  • 施設全体でCH対応マニュアルを共有・議論する

現場の声から

 以前、ある利用者が「俺はお客様なんだぞ」「態度が悪い」「お前はクビだ」といった発言を繰り返し、職員への恫喝や人格否定が頻発していました。

職員は詳細な記録を取り、主任へ報告。発言も録音しましたが、すぐには改善されませんでした。
最終的には精神科への相談を経て落ち着いたものの、解決までに長い時間を要したのです。

こうした経験から、今回のカスハラ法制化は非常に大きな一歩だと感じます。
介護業界は慢性的な人手不足に苦しみ、職員はまさに「人財」です。今までは、職員が我慢をすることが当たり前だった時代。

女性職員が利用者から体を触られても、『そういうのを防ぐのも介護職の仕事でしょ?』と言う女性のベテラン介護士もいました。その事がきっかけで退職した方も見てきました。


カスハラによる離職を防ぐためにも、対策を怠る企業がペナルティを受けるのは当然だと考えます。

参考:「特養向けのカスタマーハラスメント対策」 講師:介護弁護士 外岡 潤 

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