こんにちは、hiroです。
今回は、『介護保険制度の改正の歴史』シリーズの後編です。
後編は実務編。共生型、介護医療院、LIFE、処遇改善、そして2025年問題。ニュースの単語を現場の意思決定に落とし込んでいきましょう。
2017年 介護医療院の創設/負担割合の見直し
・共生型サービスの創設
訪問介護事業者が障害者の介護もできるようになった制度。訪問介護事業者が障害福祉制度のサービスを行えるようになり、介護が必要な方が、違う制度でも同じ事業者からサービスを受けられるようになりました。この制度が創設されたおかげで、顔なじみの方に引き続き対応してもらえることができます。
2018年 認知症対策の本格化・計画の見直し
・介護医療院の創設
以前は療養型介護施設と言われており、廃止も検討されていました。しかし、日常的な医学管理や看取り・ターミナルケアが必要な利用者も多く、介護施設での生活が難しい方への受け入れができるようになりました。介護施設は医療度が少ない方の生活の場であり、医療的ケアが常時必要な方が安心して生活できる場となっています。
・自己負担割合の引き上げ
2割負担の第一号被保険常時うち特に所得が高い方の負担割合を3割に引き上げられました
・総報酬割
第2号被保険者の保険料について従来の加入者の人数に応じた加入割から報酬額に応じた総報酬割へ変更となる。人口減により、人の数が減る傾向にある中で、所得を基準にした額の設定になります
2020年 認知症の対策を本格化へ
・認知症に対する対策を本格化
国および地方公共団体の努力義務として、認知症予防等に関する調査研究の推進およびその成果の普及、活用、発展、認知症である人の支援体制を整備する事を規定。認知症の早期発見や適切な対応を国が問題として認識し始めた。認知症身近な事になってきたという事。
・介護保険事業計画等の見直し
介護人材の確保、資質の向上やその業務の効率化・質の向上に資する事項を追加。介護業界は慢性的な人材不足。今後も充足する見通しが立たない事から、より効率化を考え、より質の高いケアを考案していく方針。
2021年 LIFEの導入(科学的介護)
・LIFEの導入
エビデンスに基づいた介護を推進する。介護業界は、ベテランの感や経験則をもとに対応をしてきた部分がある。しかし、今は状況を分析し、ケアにも再現性が求められる。加算化することで、施設の質の向上にも貢献する
2022年 介護報酬改定
令和4年度介護報酬改定
・物価・人手不足対応として10月に臨時改定。介護職員等ベースアップ等支援加算を新設。趣旨は月額約9,000円、概ね3%賃上げ相当の原資確保。
・2/3は「基本給や毎月の手当の恒常引上げ」に使う縛り。既存の処遇改善加算・特定処遇改善加算に三階建てで上乗せ。
つまり、2022年10月から「介護職員等ベースアップ等支援加算」で月9,000円相当(平均)、概ね3%を恒常的に引き上げる仕組み。2022年10月〜、介護報酬に上乗せをつけて原則・毎月の給与を底上げ。その財源をもらう条件と、配り方のルールが決まっている。受け取った加算の3分の2以上は「基本給や毎月の手当」の恒常引上げに使う。賞与だけ配るのはNG寄り。残りは賞与でもOK。
公式資料(根拠)
厚労省「令和4年度介護報酬改定について」月9,000円相当・2/3ルール・前提要件の明記。厚生労働省
厚労省「令和4年度介護報酬改定ページ」様式・記入例・実績報告。厚生労働省
厚労省「処遇改善の基本的考え方(2024通知)」3加算の一本化の説明。厚生労働省
申請様式の最新ナビ(計画・実績)。厚生労働省
2023年 コロナとその後
- 2021改定路線を継続。コロナ関連の臨時特例の取り扱い見直しが議題になり、完全終了だと現場が混乱するため、条件付きで延長する論点が浮上。面会再開や生活再建が進む一方で、慢性的な人手不足とLIFE運用の負荷は継続する。データは貯まるが、分析・活用力の差が事業所間格差になっている。
2025年問題へ到達
・2025年問題は、団塊の世代が75歳以上になる年で、医療・介護の重さと量が同時に来るという事。しかし、昔の75歳と今の75歳は違う。75歳でも元気に働いている人、若々しく活動している高齢者は増えている。現場感として、全員が即座に介護保険が必要になるとは思えない。実際、昔に比べて、特養の待機者、申し込み者が減ってきている感がある。
まとめ:介護保険制度は「現場が生きている証」
制度は完璧ではありません。 ですが、改正を重ねるたびに「今の介護現場をどう支えるか」が議論され、少しずつ改善されています。 介護保険制度の変化を学ぶことは、単なる暗記ではなく、「なぜその改正が行われたのか」を理解することに意味があります。
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