こんにちは、介護しよ.netのhiroです。
令和8年9月3日に介護給付費分科会が開かれ、介護老人保健施設や介護医療院の多床室の室料負担について議論がありましたので、そちらの内容について解説していきます。
まず結論からです。
現在、介護老人保健施設の「その他型」「療養型」、介護医療院の「Ⅱ型」については、すでに令和7年8月から多床室の室料負担が始まっています。
金額は1日260円で、1か月で考えると約8,000円です。
今回議論されているのは、今まで対象ではなかった老健の「超強化型」「在宅強化型」「加算型」「基本型」や、介護医療院の「Ⅰ型」などにも、室料負担を広げるかという内容です。
まだ決まったわけではなく、現在は議論中です。
負担限度額認定について簡単におさらい
介護保険制度が始まったのは2000年です。
制度が始まった頃は、施設に入所している方の食費や居住費についても、介護保険の給付に含まれていました。
しかし、在宅で生活している人の場合は、食費や家賃、光熱費などは自分で支払います。
例えば、施設に入っている方は食費の一部が保険から出るのに、在宅で生活している人は3食すべて自分で支払うことになります。
これでは不公平ではないか、という話になりました。
そのため2005年から、施設に入所している方も、食費・居住費を原則として自己負担することになりました。
ただ、これで困ってしまうのが低所得の方です。
食費や居住費をすべて負担すると、施設を利用すること自体が難しくなる方もいます。
そこで作られたのが「特定入所者介護サービス費」です。
いわゆる負担限度額認定です。
所得などに応じて、食費や居住費に支払う上限が決められ、それを超える分について介護保険から給付される仕組みです。

多床室でも室料負担が始まった理由
施設の居住費については、少しずつ見直しがされてきました。
特別養護老人ホーム
特養は、実際には長く生活する方も多く、死亡退所も多い施設です。
そのため、実質的に「生活の場」として使われている部分があります。
在宅で生活している方との公平性を考え、多床室についても一定の所得がある方には室料負担を求めることになりました。

介護老人保健施設
老健は、本来はリハビリなどを行い、在宅復帰を目指す施設です。
ただ、実際には長期で入所している方もいます。
資料では、平均在所日数が400日を超えている状況や、入所理由として他施設への入所待ちが多いことなども示されています。
特養の入所待ちで老健に長く入所している方も少なくありません。
こうしたことから、「実際には生活の場になっているのではないか」という考えも出ています。
そのため令和7年8月から、「その他型」「療養型」の老健について、多床室でも室料負担が始まりました。

介護医療院
介護医療院についても、長期間生活する方が多い施設です。
特にⅡ型については、家庭への復帰が限定的で、実際には生活の場となっているケースも多いため、多床室の室料負担が始まりました。
老健の「その他型」「療養型」って何?
老健にはいくつかの類型があります。
| 類型 | 簡単なイメージ |
|---|---|
| 超強化型 | 在宅復帰をかなり積極的に行っている |
| 在宅強化型 | 在宅復帰に力を入れている |
| 加算型 | 在宅復帰や在宅支援に一定の実績がある |
| 基本型 | 一般的な老健 |
| その他型 | 在宅復帰などの基準が一定水準に届いていない |
| 療養型 | 医療や療養が必要な方が比較的多い |
現在、室料負担の対象になっているのは、この中の「その他型」と「療養型」です。
現在の室料負担の対象
現在は、
①「その他型」「療養型」の老健の多床室
②「Ⅱ型」の介護医療院の多床室
③1人あたりの床面積が8㎡以上
などが対象となっています。
金額は1日260円です。
30日で計算すると、
260円×30日=7,800円
となり、約8,000円の負担です。
ただし、低所得者については負担限度額認定の対象となるため、全員がそのまま8,000円負担になるわけではありません。
ここは注意が必要です。
今回、何が議論されているのか
今回の議論では、現在は室料負担の対象になっていない老健や介護医療院についても、対象を広げるかが話し合われています。
理由としては、在宅で生活している方との負担の公平性があります。
老健は在宅復帰を目指す施設ですが、実際には長く生活している方もいます。
介護医療院についても、生活の場として利用されている方が多くいます。
そう考えると、施設によって室料負担がある人とない人がいるのはどうなのか、という話です。
一方で、老健は本来「住まい」ではなく、在宅復帰を目指す施設です。
そのため、老健で室料を取ること自体どうなのか、という意見もあります。
また、令和7年8月に始まった制度なので、まずはその影響を見てからでもよいのではないか、という考えもあると思います。
まとめ
老健や介護医療院の多床室については、令和7年8月から一部の施設で室料負担が始まっています。
現在対象なのは、「その他型」「療養型」の老健と「Ⅱ型」の介護医療院です。
今回の議論は、今まで対象ではなかった老健や介護医療院にも、室料負担を広げるかという内容です。
まだ決定ではありません。
今後、令和9年度の介護報酬改定に向けて議論が続いていくと思われます。
私自身、相談員として老健に特養入所の事前面談に行くことがありました。
その中で、特養の入所待ちで老健に3か月以上入所している方は多くいました。
中には数年入所しているという方もいました。
老健は在宅復帰を目指す施設ですが、実際には生活の場になっている方もいることは、現場でも感じていました。
そのため、個人的には多床室の室料負担について、考え方としては理解できます。
ただ、月8,000円という金額は、年にすると約10万円です。
低所得の方にとっては大きな負担になる可能性があります。
負担限度額認定などで低所得者に配慮しながら、慎重に進める必要がある問題だと思います。
皆さんは、老健や介護医療院の多床室の室料負担について、どう感じますか?
今後、正式に決まった際には、また記事にしていきたいと思います。
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