介護保険の自己負担が2割になる? 政府が対象拡大を検討|誰が対象?負担額はいくら増える?

介護保険の自己負担1割から2割への対象拡大を検討するイメージ 介護

こんにちは。介護しよ.netのhiroです。

現在、介護サービスを利用すると、原則として自己負担はサービス費用の1割となります。しかし現在、65歳以上で一定以上の所得がある方を対象に、2割負担にしてはどうか、という議論が行われています。

この記事では、この問題について政府がどのように考え、何を検討しているのか、また、現在示されている所得条件や対象者、2割負担になった場合に金額がどのくらい変わるのかについても見ていきます。

※この記事は2026年9月21日時点の情報をもとに作成しています。

まず結論

厚生労働省は、全世代型社会保障の構築を目指す改革の一つとして、現在1割負担となっている方のうち、一定以上の所得がある方を2割負担の対象にすることを検討しています。

これは「能力に応じて、全世代で社会保障を支え合う」という考え方に基づくもので、まだ決定したわけではありません。

現在は、どの所得水準の方まで2割負担の対象にするのか、負担が増える方への配慮をどのように行うのかが議論されています。

前提を確認

現在の介護保険サービスの自己負担は原則1割です。

ただし、一定以上の所得がある65歳以上の方は2割、さらに所得が高い方は3割負担となっています。

社会保障審議会・介護保険部会(第136回)の資料によると、介護保険制度が始まってから25年が経ち、サービス利用者は制度創設時の3.5倍を超えました。

介護費用の総額も、制度創設時の約4倍に増えています。

また、65歳以上が負担する第1号保険料の全国平均は、制度創設時の月額2,911円から、第9期には6,225円に増加しました。

40歳から64歳までが負担する第2号保険料の1人当たり平均月額も、2000年度の2,075円から、2025年度には6,202円となる見込みです。

今後さらに高齢化が進むことを考えると、介護費用や介護保険料は、さらに増える可能性があります。

2割負担の対象拡大を進める側は、主に次の理由を挙げています。

  • 介護給付費が増えていく中で、制度をどのように維持するか
  • 現役世代などが負担する保険料の上昇を、どのように抑えるか
  • 負担能力のある高齢者には、より負担してもらうべきではないか

財務省も「能力に応じた負担」と、現役世代を含めた保険料負担の上昇を抑えることを理由として挙げています。

これは、2割負担を最初に導入した際にも示された考え方です。

現在の介護保険の負担割合

現在の主な基準は、次のようになっています。

1割負担

2割・3割負担の条件に該当しない方です。

2割負担

本人の合計所得金額が160万円以上で、さらに「年金収入+その他の合計所得金額」が、次の基準以上となる方です。

  • 単身世帯:280万円以上
  • 65歳以上の方が2人以上いる世帯:合計346万円以上

ただし、3割負担に該当する方を除きます。

3割負担

本人の合計所得金額が220万円以上で、さらに「年金収入+その他の合計所得金額」が、次の基準以上となる方です。

  • 単身世帯:340万円以上
  • 65歳以上の方が2人以上いる世帯:合計463万円以上

現在議論されているのは「介護サービス利用者を全員2割負担にする」という内容ではありません。

2割負担になる「一定以上所得者」の範囲を、今よりも低い所得層まで広げるかどうか、という議論です。

具体的な新基準はまだ決まっていません。

政府は、第10期介護保険事業計画が始まる2027年度より前、つまり2026年度中に結論を出す方針です。

2割負担の新しい所得基準として示されている案

社会保障審議会・介護保険部会(第136回)の資料には、次のような考え方が示されています。

負担増に対応できると考えられる所得がある利用者に限って、2割負担の対象とする。

具体的な所得基準の候補として、単身世帯の場合、次の金額が示されています。

  • 260万円
  • 250万円
  • 240万円
  • 230万円

65歳以上の方が2人以上いる世帯では、次の金額が示されています。

  • 326万円
  • 316万円
  • 306万円
  • 296万円

現在の基準は、単身世帯の場合「年金収入+その他の合計所得金額が280万円以上」です。

これを260万円から230万円までの範囲に引き下げた場合、これまで1割負担だった方の一部が、2割負担になる可能性があります。

所得分布で見ると、260万円は65歳以上の被保険者の上位約25%、230万円は上位約30%に当たる水準です。

また、負担への配慮措置を設けない機械的な試算では、単身世帯の基準を230万円まで下げた場合、新たに影響を受ける方は約35万人とされています。

ただし、これはあくまで試算です。

230万円という基準や、新たに35万人が2割負担になることが決定したわけではありません。

夫婦世帯の場合の判定

夫婦世帯だからといって、夫婦がそろって2割負担になるわけではありません。

負担割合は、基本的に一人ひとり判定されます。

そのうえで、同じ世帯に65歳以上の方が2人以上いる場合は、その方たちの年金収入とその他の合計所得金額を合算して判定します。

そのため、夫が2割負担、妻が1割負担ということもあります。

実際の負担割合は、市区町村から交付される「介護保険負担割合証」で確認できます。

1割から2割になると月額はいくら増えるか

例えば、保険対象となる介護サービス費が月10万円の場合、負担額は次のようになります。

  • 1割負担:1万円
  • 2割負担:2万円
  • 1か月の差額:1万円
  • 1年間の差額:12万円

この場合、介護サービス費に対する自己負担額は2倍になります。

ただし、実際には「高額介護サービス費」などの負担軽減制度があります。

そのため、この計算がそのまま最終的な負担額になるとは限りません。

また、食費、居住費、日用品費などの介護保険対象外の費用は、この計算には含まれていません。

2割負担の対象を増やす方向で議論が行われていますが、負担が増える方への配慮措置についても検討されています。

2割負担になった方への配慮措置として検討されている案

2割負担の対象を広げる場合、急激な負担増を防ぐための配慮措置も検討されています。

現在示されている主な案は、次の2つです。

1.負担増加額を月7,000円までに抑える案

新たに2割負担となった人について、1割負担だったときと比べた月々の負担増加額を、当分の間、最大7,000円までに抑える案です。

「自己負担額そのものを7,000円にする」という意味ではありません。

例えば、1割負担で月2万円だった人が2割負担になった場合、通常なら4万円になります。しかし、この措置が採用されれば、負担増は最大7,000円となり、月額は2万7,000円までに抑えられるイメージです。

2.預貯金が一定額以下の人を申請により1割負担とする案

所得基準では2割負担に該当しても、預貯金などの資産が一定額以下の場合は、申請によって1割負担とする案です。

この仕組みでは、預貯金や有価証券などを本人が申告し、市区町村が要件を確認することが想定されています。

ただし、預貯金の具体的な基準額を含め、制度の内容はまだ決定していません。

2割負担の対象拡大で懸念されること

介護サービスは、訪問介護やデイサービスなどを何年にもわたって継続して利用することがあります。

そのため、自己負担割合が1割から2割に上がると、利用者によっては負担増が長期間続きます。

考えられる主な影響は、次のとおりです。

  • 費用を理由に必要な介護サービスの利用を減らしてしまう
  • サービスの利用控えによって、本人の心身状態が悪化する
  • 家族の介護負担が増える
  • 利用者の減少によって、介護事業所の経営にも影響が出る

厚生労働省の資料でも、医療と介護ではサービスの利用実態が異なり、介護は特定の人が継続して利用するという特徴が示されています。

単純に所得だけで区切ると、「所得は基準を少し上回っているものの、介護費を長期間払い続ける余裕は少ない」という世帯にも影響が及ぶ可能性があります。

そのため、所得だけでなく、預貯金や生活実態への影響も含めた議論が行われています。

2割負担になっても介護事業所の収入が増えるわけではない

介護事業所は、介護サービスを提供した対価として、利用者の自己負担分と介護保険から支払われる給付分を受け取ります。

1割負担の場合は

  • 利用者が1割を負担
  • 介護保険から9割が支払われる

という仕組みです。

2割負担の場合は、

  • 利用者が2割を負担
  • 介護保険から8割が支払われる

という内訳に変わります。

自己負担額と給付額の割合が変わるだけで、同じサービスを同じ回数利用した場合、事業所に入る金額は原則として同じです。

例えばサービス費が10万円の場合、1割負担でも2割負担でも、事業所が受け取る金額の合計は10万円です。

ただし、自己負担額が2割になり、負担増によって利用者がサービスの利用回数を減らしたたり、利用を停止したりすれば、サービスの提供回数そのものが減るため、事業所の収入も減少します。

人件費や家賃などの固定費は簡単には減らすことには限界があるため、利用控えが広がれば、介護事業所の経営に影響する可能性があります。

まとめ

介護保険の2割負担について現在議論されているのは、利用者全員を2割負担にすることではありません。

現在1割負担となっている人のうち、比較的所得の高い人まで2割負担の対象を広げるかどうかが検討されています。

ポイントを整理すると、次のとおりです。

  • 2割負担の対象拡大は、まだ決定していない
  • 単身世帯で230万円から260万円までの所得基準案が示されている
  • 230万円案では、配慮措置がない場合、約35万人が新たに影響を受ける試算がある
  • 負担増加額を月7,000円までに抑える案も検討されている
  • 預貯金が一定額以下の人を、申請により1割負担とする案もある
  • 政府は2026年度中に結論を出す方針

1割から2割に変われば、介護サービス費に対する自己負担額は基本的に2倍になります。

一方、高額介護サービス費や現在検討されている配慮措置により、家計の最終的な負担が必ずそのまま2倍になるとは限りません。

今後の議論では、対象となる所得基準だけでなく、負担軽減策の内容にも注目する必要があります。

介護しよ.netでは、新しい情報が発表され次第、この記事を更新していきます。介護保険制度が始まっ

介護しよ.netでは、新しい情報が入り次第、この記事でお伝えしていく予定です。

参考資料

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