口腔ケアの目的とは?

口腔ケアとは? 介護

こんにちは。

今回のテーマは『口腔ケア』です。

昨今は、口腔ケアの重要性が注目されており、

『介護口腔ケア推進』という民間資格が2014年に創設されています。

https://www.tsukui-staff.net/kaigo-garden/work/256

また、口腔ケアは、毎日当たり前にやっていることですが、口腔ケアをしっかりやったら、ADLが改善したという例もあります。

【歯科治療後にADLが 改善した高齢者5症 例の臨床的検討】

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsg1987/17/3/17_321/_pdf

昔は、今ほど口腔ケアは重要視はされていませんでした。少なくとも私の周りでは、聞いたことがなかったです。しかし、新しく資格制度ができたり、口腔ケアによってADLが改善されたなど、どんどん重要性が確認されてきたという事ですね。今回は、口腔ケアの方法などの記載は割愛し、基本的な知識を解説していきますので、最後までお読みいただけると幸いです。

| 口腔ケアの目的とは?

口腔ケアの目的を考えたことがあるでしょうか?

目的といえば様々あると思いますが、今回は以下の4項目を挙げて参ります。

口腔ケアの目的

・誤嚥性肺炎の原因となる口腔内細菌数を減らす
・口腔内の清潔保持と保湿
・口腔機能の維持
・コミュニケーションの円滑化

誤嚥性肺炎とは?

高齢者の死亡率原因の一つに『肺炎』があります。

肺炎になると、発熱、咳、膿性痰がみられ、重症になると呼吸が困難になったり、意識状態が悪くなったりします。高齢者では典型的な症状が出現しなくても、食欲低下や全身倦怠感などがあり、私自身も介護現場で、椅子や車いすに座っていても脱力感があったり、咽こみが多くなったりという場面を見てきました。肺炎の中でも、75歳以上の高齢者の7割が『誤嚥性肺炎』であるというデータもあります。

       (厚生労働省ホームページ 『高齢化に伴い増加する疾患への対応について』より引用)

誤嚥性肺炎とは、食べ物や唾液、また、逆流した胃液などが誤って気管に入ってしまう事でなる肺炎の事です。

誤嚥性肺炎になる原因は、

  • 口腔内の清潔が保たれていない
  • 高齢者や寝たきり患者では咳反射が弱くなり嚥下機能が低下し、口腔内の細菌が気管から肺へと吸引され、肺炎を発症する
  • 栄養状態が不良であること
  • 免疫機能の低下
  • 嘔吐などで食物と胃液を一度に多く誤嚥し発症する

など複数要因があげられます。

誤嚥性肺炎の原因の一つである、口腔内の清潔が保たれていない状態とは、食べかすが口腔内に残っていたり、口腔内に水分が残っている場合です。

その結果、口腔内で肺炎の原因となる細菌がより多く増殖してしまい、肺炎になるというメカニズムです。

誤嚥性肺炎の原因となる口腔内細菌数を減らす

歯の表面には歯垢が存在し、1gあたり、1000億もの菌が存在すると言われ、その数は糞便をこえると言われます。歯垢は『バイオフィルム』と呼ばれ、口腔粘膜に付着する汚れの事で、歯に強固に付着しているため、うがいだけでは除去できず、ブラッシングが必要です。

口腔ケアのポイント

  • 菌の塊であるバイオフィルムを除去する→ブラッシングが必要
  • 舌苔を適度にとる→取り過ぎは禁物
  • うがいした汚染水はきちんと回収する→残った汚染水で誤嚥性肺炎を引き起こすリスクがある
  • 保湿ジェルなどを用いて口腔内を保湿する→感想は痰などの汚染物が固着する原因になる
  • 唾液を増やせるようにする→脱水を解消する、頬のストレッチなども有効

上記を意識して、口腔ケアを実施することが大切になってきます。

口腔内の清潔保持と保湿

口腔内をブラッシング、もしくは口腔ティッシュなどで拭うなどした後は、保湿がとても大切になってきます。口腔内が乾燥していると新陳代謝により剥離した上皮が痰と絡み塊を作ってしまい、除去する事が困難な場合があります。そのため、口腔ケア後の保湿ジェルの使用や、脱水にならないように普段から水分摂取の促しや、唾液を促す体操なども有効です。

口腔ケア後の観察ポイント

  • 歯と歯の間に食べかすが残っていないか?
  • 上下の前歯の歯茎の間に食べかすはないか?
  • 上あごにたんや汚れは付着してないか?
  • 舌が白く汚れていないか?
口腔機能の維持

口腔機能とは、嚙む力、舌の力、呑み込む力、唾液の分泌など多岐にわたります。

口腔内の清潔が保たれていないと、虫歯や歯周病になる可能性が高く、特に歯周病は歯肉の炎症を繰り返しながら歯肉や骨を破壊していきます。歯があるという事はとても大切なことで、噛むことによって認知症の発症リスクが1.9倍にもなると言われています。

その他にも、味覚の維持、噛む際にあごを動かすことによって顔などの骨や筋肉が動きが出て、血の巡りが良くなり、脳細胞の働きが活発になり、会話がスムーズにできたり、反射神経や記憶力、集中力、判断力などが向上が期待されます。そして、噛むことにより唾液が出て、食物が柔らかくなり飲み込みしやすくして口腔内の乾燥を防ぐ、それから、食べかすを洗い流すなどの作用もあります。

コミュニケーションの円滑化

口腔ケアの目的の中で三つ目は、コミュニケーションの円滑化です。

口腔ケアが十分でない状態では、口腔内に細菌の増殖、そして歯周病などの発生した結果、口臭が強くなったり、歯を見せるのが怖くて笑顔ができなかったりでコミュニケーションへの問題が生じてしまいます。人間である以上、コミュニケーションは言葉や表情がとても大切で、それができないとなると疎外感から意欲の低下や引きこもりなどへ繋がりかねません。

| 最後に

今回は、口腔ケアの基本的な知識を解説いたしましたが、いかがでしたでしょうか?

具体的な方法や手順などはまた次の機会に回したいと思います。

私自身、昔は口腔ケアは深く考えず行っておりましたが、学んでみるとまた違った見方ができ、他人の口腔ケアが気になるようになりました。

例えば、口腔ケアの際、利用者様を前かがみにしていたり、歯があるのにブラッシングしていなかったりと気になることはたくさんあります(ちなみに、口腔ケアの姿勢は30度が理想とされています。)

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

次回もお楽しみに。

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