【必見】認知症を知ろう!

介護

|認知症は、他人ごとではない。

  2025年の認知症患者数は700万人になると言われ、65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症を発症すると言われています。自分を含め、多くの方が ”自分は認知症にはならない” と思っていると思います。

しかし、症状が発症しない確率はゼロではありません。
仮に自分が認知症にならなくても、ご両親であったり、兄弟など身近な方が認知症になってしまう可能性もあります。
その時、慌てないように知識を得ることで、冷静に受け入れられるかもしれません。

ということで、今回はテーマは『認知症』です。

  • 認知症はどのような症状があるのか?
  • 認知症には複数の種類がある。4大認知症を解説。
  • 認知症の方への対応はどのようにすればよいのか?   

|認知症とは?

 認知症は認知障害の一種であり、ヒトの脳の後天的な器質的障害により、いったん正常に発達した知能・知性が不可逆的に低下する状態である。

『ウィキペディア(Wikipedia)』より引用

 介護職といえば、

認知症については知っていて当たり前でしょ?

と思われるかもしれません。
もちろん、普段から認知症の方の対応をしているので、どういったものかは認識していると思いますが、10年以上介護職をやっていて、認知症の理解が足りない職員も少なくないという現実があります。
例えば、介護職の言っていることが理解できない方に対して、

・相手を説得している職員

・相手の発言を否定してしまい興奮させている職員

など、認知症対応としては、『NG』であろう対応をしている介護職員を何度も見てきました。

そういう意味で、知っているようで知らないことも多いのが認知症ではないでしょうか?。

|認知症と物忘れの見分け方

 認知症には、『物忘れ』という症状があります。

しかし、自分を含めて普段生活していて、物忘れをする機会は必ずありますよね?
そこで『物忘れ』と『認知症』の違いとは何ですか?と質問されたら返答はどうでしょうか?

ざっくりとした違いは、

認知症:体験のすべてを忘れている。
物忘れ:体験の一部を忘れている。

ということになります。

具体例を挙げてみましょう!
『昨日の夕飯は何食べましたか?」という質問に対して、

『物忘れ』の方は、

『うーん、何食べたかな?ちょっと思い出せない』

食べたことは思い出せますが、何を食べたかを思い出せない状況。

一方、認知症の方は

『昨夕は、夕飯を食べてないんだ。』

夕食を食べたという記憶自体が無くなっている状態です。

|認知症には様々な問題行動とは?

認知症には様々な問題行動があります。
その中でも、認知症の方に普遍的にみられる症状を『中核症状』といいます、

中核症状には、
記憶障害・・記憶があいまいになる、新しいことが覚えられない、
見当識障害・・日付、時間、場所などが認識できなくなる。
理解、判断力の障害・・状況や言葉の理解が難しくなる。
実行機能障害・・計画を立てて、行動を実行したり、効率よく対応したりする能力が低下する。
   失語失認・・用途を間違える、動作を間違える。

という症状があります。

そして中核症状に付随して現れる症状を『周辺症状』『行動・心理症状(BPSD)』といいます。

以下が『行動・心理症状(BPSD)』の一部です。
・徘徊
・幻覚
・暴力・暴言
・介護拒否
など

|認知症には種類がある。

認知症と一言で言っても、認知症の種類が複数あることはご存じでしょうか?

それは、4大認知症と言われ、全体の9割の方が以下の認知症に当てはまると言われています。

4大認知症の種類

⑴アルツハイマー型認知症
⑵血管性認知症
⑶レビー小体型認知症
⑷前頭側頭型認知症

⑴アルツハイマー型認知症
 認知症の中でも最も多いのが、『アルツハイマー型認知症』で全体の7割近くにもなります。長い時間をかけて症状が進行していくのが特徴です。
頭頂葉と側頭葉の萎縮が見られ、文字が読めない物の持ち方や使い方がわからない簡単な計算ができない体の感覚が鈍くなり、傷ができていても痛みが感じにくい経緯がわからない、そして、何かをお願いした場合でも言葉の意味が理解できず、動こうとしないなどの症状がみられます。

⑵血管性認知症
 血管性認知症は、脳出血や脳梗塞などの脳血管障害が原因で起きる認知症です。そのため、脳の障害を受けた部位によって、出現する症状は異なります。部位によっては、半身まひが残ったり、側頭葉にあるウェルニッケ野が障害されると相手のいう事が理解できなくなるなどの症状があります。そのほかには、言語障害、歩行障害、知覚障害など。
そしてもう一つ特徴的なのが、『まだら認知症』と言われ、障害された能力と残された能力があるため、1日の中で症状の波があり、ある時は抑うつ状態でも次のタイミングでは意識がはっきりするなどが見られます。そして、まれにアルツハイマー型認知症の方が血管性認知症を起こしている場合があり、こちらを『混合型認知症』と呼ばれます

⑶レビー小体型認知症
 レビー小体とは、脳の神経細胞にできる特殊なたんぱく質のことです。レビー小体がたくさん集まる場所では神経細胞が破壊され、徐々に減少し、指揮・命令が行かなくなります。レビー小体型認知症の大きな特徴は、『幻視』です。幻視とは実際にはないものが、本物のように鮮明に見えることです。対象物の具体的な色や形を説明できるくらい、本人には本当に見えているのです。例えば、壁のシミが虫に見える、影が観葉植物が人に見えるといった具合です。また、初期には一日の中で認知機能が大きく変動する、日内変動の様子が見受けられます。そして、レビー小体認知症の方は、パーキンソン症状が出やすく、小刻み歩行や、筋肉のこわばりなどが見られます。

⑷前頭側頭型認知症
 前頭側頭型認知症の特徴は、人格の変化や異常行動が現れることがあり、万引きや信号無視などの反社会的な行動をとっても、本人の罪悪感が無くなってしまう為、制止すると暴力を振るうなど興奮状態を起こすことがあります。そして、同じ時間に同じ行動を起こす『常同行動』や集中力低下なども見られるようになります。また、言語障害や食事の嗜好の変化なども現れます。認知症の進行は個人差がありますが、比較的ゆっくり進行していき、最後には寝たきりとなります。

|認知症の対応

以上、4大認知症を解説いたしました。認知症は4種類に分類できることは理解できましたが、どのように対応すればよいのか?

認知症症状は個人差がある為、正解というのはありません。

しかし、共通した対応方法は以下の2つだと私は考えます。

⑴相手の訴えを一旦受け入れ、共感する。
 介護職をしていて、共感をするだけで落ち着いたという経験は多いです。
『ごはんを食べてない』と言ったら、『ごめんなさい。まだ、召し上がってなかったんですね?今作ってきますね』とお伝えしたり、
『お金を持ってないからお金を払えないから帰る』と言ったら、『お金の事は心配しなくて大丈夫ですよ。もうご家族からお支払いしていただいてます』と答えたり、相手を否定せず受け入れることです。
認知症の方は、自分の世界があり、本気で思っているからこそ出る発言や行動ですので、相手の発言を否定すると、興奮したり、気分を損ねたりしてしまい他の利用者への影響が出る場面もありますので、まず相手を受け入れ、共感する事が基本です。


⑵自尊心を尊重する。
 認知症の方は、今、自分がどのような状態なのかがわからなくなってしまう事があります。しかし、人間としては我々の大先輩でもあるため、認知症の発症していても、プライドはあります。介護職の発言や行動によっては、自信をなくし、意欲低下から活動量が減ってしまい最終的には寝たきりになるという流れになってしまう場合もあります。そのため、言葉遣い、接し方には敬意を持って接する事が大事になります。

|アセスメントの重要性

 基本的に、認知症は完治はせず、進行していきます。
そのため、その場の対応で落ち着いたとしても、根本的な対応とはなりません。
先に述べた通り、認知症の対応に正解はないですが、対応を検討する際、アセスメントがとても大事になってきます。


アセスメントとは、本人をよく知ること。


つまり、

  • 本人の実際の過去の生活歴はどうだったのか?
  • どのような生活習慣をしていたのか?
  • 人間関係は?
  • 性格は?                                             など、相手を理解して関わることがとても大切になってきます。


それから、認知症という病気の理解と特徴、その他の病気の影響、その人を取り巻く環境の影響など幅広い視点からのアセスメントが重要です。
介護職のほうも、本人が認識している世界を把握しようと心掛ける事。
つまり、

①介護職の『今いる世界』と利用者の『今いる世界』とのズレを理解する。
②声のかけ方や非言語的なコミュニケーションが大事。

 認知症の方は、

『自分の体の状態をうまく伝えられない=様々な症状として出現する』

という場合が多く、本人の発する言葉だけでなく、表情や仕草、態度までを確認することもとても重要になってきます。
例えば、
⑴『帰りたい』と訴え、落ち着かない

→なぜ帰りたい?を考える
→トイレに行きたいのかもしれない
→家族のことを思い出し、心配してるのかもしれない
→今いるところの居心地が悪く感じているのではないか?
など

アセスメントをしっかりやることで、本人が安心して生活でき、それによって家族の方も安心できるでしょう。そして、介護職員の負担の軽減にもつながるかもしれません。

|最後に

いかがでしたでしょうか?

認知症を少しでも理解いただけたでしょうか?

冒頭にも書きましたが、認知症は他人事ではなく、身近な問題となっています。
自分事として捉え、身近な人が認知症状を発症してもパニックにならないように知識を得る事で、状況を冷静に受け入れることができるかもしれません。

今回も、お読みいただきありがとうございました。

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