【家族目線の実務ガイド編】特養に入ったあとの病院受診はだれが付き添う?働く家族のためのやさしい解説

介護

実は、病院受診は大きな負担になっていませんか?

※この記事は、主に「特別養護老人ホーム(特養)」の場合を前提にしています。
老健やサ高住などでは、受診付き添いのルールが違うこともあるので、
入所を検討している施設ごとに確認してみてください。

こんにちは、hiroです。

今回は、施設でよく聞かれる事柄を記事にしました。

それは、病院の受診に誰が行くのか?” という事。

現場では、このような質問が本当に多く聞かれます。

介護太郎
介護太郎

・家族が特養に入所した後、今まで行っていた病院はどうなるの?
・平日は仕事がありますが、受診する時は家族が行かないとダメ?
・歯の治療に歯医者に行ってもらいたいけど、施設の人が行ってくれないかな?

高齢になると、どうしても体に不調が出てくるもの。

大事な家族が体調を壊してしまった時、
・病院に行った方が良いのはわかっているけど、平日は仕事があって、
・たびたび休むこともできない
・病院の受診は待ち時間も長い
・自分の時間を使わないといけない

など、家族には負担がかかっています。

今回は、特養に入った後、受診対応がどのようになるのかを解説致します。

病院受診は、原則施設職員が行く

入所説明や申込の場面で、ほぼ必ず出る質問

介護太郎
介護太郎

病院受診は、誰が連れて行ってくれるんですか?やはり家族が行く形ですか?

まず、結論を言うと

特養に本入所された方については、施設職員が付き添いをしますしかし、例外あり、受診が家族対応になることもあります。

これが、上記の答えになります。

 特養は、提携病院を持つ事が決められており、定期的に提携病院の医師が往診に来ます。その為、体調不良や事故が起きたときは、基本的にはカルテがある提携病院へ受診する事が多いです。職員(介護職・看護職・相談員のいづれか)が付き添いのもと、受診をして、結果を家族へ連絡する形が一般的かなと思います。

また、施設の中でも受診に誰が行くのかという事が時折、話題になります。
今は看護師が行くというのが主流になりつつあります。

コチラから👉昔と今でどう変わった?特養での医療対応と受診付き添いの実態 | 介護しよ.net

受診時に家族に来ていただく場合

 特養へ入所すると、原則は施設職員が受診付き添いをします。
しかし、受診時に家族に同行をお願いする場合もあります。それが、

・利用者が入院、退院する時
・利用者の治療に家族の判断が必要な時


利用者が入院、退院する時
 入院、退院の時は手続きが必要になります。そして、最近は個人情報の関係で、病状説明を家族へすることが多く、病院から『家族はいつ頃来きますか?』と聞かれます。


利用者の治療に家族の判断が必要な時
 受診をして、治療方針を決める際に家族の意向を聞かれます。ご本人が認知症である場合などは決断が難しいので家族に来ていただく場合が多いです。

例えば、
・手術をするのか、しないのか
・延命につながる治療をするのか、しないのか

 施設職員では判断できないケースがあり、Drから『家族と話がしたいから来るように言ってください』と話があります。その場合、当日であったり、翌日であったりとDrの都合を優先した日程で、家族とDrが直接話をする機会を設定します。
ちなみに、Drと家族が治療や今後について話をすることをインフォームドコンセント、もしくはIC(アイシー)と呼んでいます。

本入所でも家族が受診へ行くこともあるって本当?

 先ほど、”特養へ入所した場合は、原則、職員が受診へ付き添う” とお伝えましたが、例外的に、家族が受診へ行くケースもあります。

それは、提携病院以外の病院へ受診する時です。

これには二つのパターンがあって

①提携病院へ受診したが、治療の為の専門科が無く、他病院へ紹介状を書いて受診する場合

②特養へ入所する以前からかかっている病院へ定期受診する場合

≪①について≫
体調不良で、提携病院へ受診をしたが、治療の為の専門科がないことがあります。
私の経験で言うと、
・女性利用者の方がトイレで血尿が出たので泌尿器科へ受診したが、泌尿器科ではなく、婦人科へ行くように言われた。
・男性利用者が関節痛で受診したが、整形外科へ行くように言われた場合

提携病院が、大きな病院ではない場合は、家族対応にて受診となります

≪②について≫
 特養へ入所後も、以前からかかっている病院へ行く場合も家族対応となります。
こちらも二つのパターンがあります。
①家族の希望にて以前からかかっている病院へ行かれる場合
 提携病院に同じ科があっても、家族希望にて以前の病院へ通い続ける方もいらっしゃいます。理由は、昔から診てもらっているDrを信頼しているからと言うものです。病院が変わると、カルテ情報の共有はされますが、まず先生との関係づくりから始めないといけない為、ご本人が負担に感じる事と、ご本人の癖なども知った上でのDrが診察がしてい頂けるから、と言う理由でした。

こちらに関しては、家族要望が多いです。

②提携病院へ変更したいが、専門科が無い場合
 難病をお持ちの方で、家族としては定期受診の負担が大きいため、提携病院で診てもらいたいが、専門科が無いため、仕方なく受診同行をしている状況です。

家族受診の時に、具体的に何が負担に感じるの?

今まで、”病院受診が家族にとっては、負担が多い” という仮定の元で解説してきましたが、実際には家族対応の受診が負担に思わないかたもたくさんいらっしゃると思います。また、家族受診をされていない方には、何が負担に思われるかを具体的にお伝えしたいと思います。
負担な理由は人それぞれですが、現場で多く聞かれる声は、以下の二つです

・時間的な拘束

・金銭的な負担

≪時間的な拘束≫
 病院受診でセットになるのは、『待ち時間が長い』という事。献身的に介護をすることは、とても美しいことですが、自分の時間を使わないといけないことが、ストレスや負担に感じることがあると聞きます。

金銭的な負担
もう一つ病院受診にセットとして、金銭的な負担です。病院受診や薬の費用は一回一回はそこまで高額ではないですが、ちりも積もれば金銭的な負担は大きくなります。また、移動が車いすの方は介護タクシーが必要です。介護タクシーはとても便利ですが、通常のタクシーよりも高額になってきます。最近、利用者が介護タクシーを使用した際、片道で7000円もかかった、と聞きました。
普通車に乗れる方とそうではない方とでは、金銭面の負担は大きく異なるのが現状です。

家族の方も、利用者ご本人の前では言いませんが、職員の前ではついつい本音が話される方も多くこれが現実なのかと思っております

基本の考え方:「医療」と「介護」の分かれ目

ここで、振り返りも含めて、「医療」と「介護」の仕組みを表にしました。

特養は「医療」ではなく「生活と介護」が中心の場所です。
そのうえで、健康管理や通院サポートが「どこまで可能か」は施設ごとに違います。

テーマポイント(専門的な整理)家族向けのひとこと説明
特養の役割特養は「介護」を中心とした生活の場であり、「治療」を行う病院ではないここは“病院”ではなく、“暮らしを支える介護の場所”だと思ってください
日常の健康管理・急変時対応バイタルチェックや体調の変化の観察、急変時の初期対応は行ってくれる体調が悪くなったときは気づいてくれて、必要な対応はちゃんとしてくれます
通院の位置づけ診察や検査、治療はあくまで外部の医療機関の役割本格的な診察や検査は、これまで通り「病院・クリニック」のお仕事です
施設が動ける範囲が違う理由通院付き添いや送迎の可否は「人員」「体制」「施設内のルール」で変わるどこまで手伝えるかは、その特養の人手やルール次第で少しずつ違います

パターンA:施設の職員(看護・介護・相談員など)が付き添う

  • 主にこんなケース:
    • 急な発熱・ケガなどで、緊急に受診が必要
    • 家族が遠方・仕事でどうしても来られない
    • 定期受診だけど、施設側で対応する体制があるところ
  • 家族が「助かる!」と感じやすいポイント:
    • 日中の受診でも仕事を休まなくてよい
    • 普段の様子を知っている職員が医師に説明してくれる

「ただし、職員が付き添うにも人手が必要で、
いつでも・何回でも、というわけにはいかないことが多いです」


パターンB:家族が付き添う

  • よくあるパターン:
    • 大きな手術や専門医受診など、説明が複雑なとき
    • 主治医の話を家族が直接聞いておいた方がいいとき
  • 家族付き添いのメリット:
    • 医師から直接説明を聞ける
    • 今後の方針(入院・治療法など)をその場で決めやすい

ここで、

「仕事を持つ家族にとっては負担になる部分でもあるので、
施設と“どこまでお願いできるか”を事前にすり合わせておくことが大切」


施設によって違う“ルール”の例

病院受診は、家族にとって負担であるのは、現場で聞く声からすると間違いないと思います。
本入所の方の受診は、原則的に施設職員が行く形ですが、受診同行は施設職員にとっても負担は大きいのは事実としてあります。

家族が知っておいて欲しいポイントとして:

  • 「原則、定期受診は家族付き添い」と決めているところがある
  • 「月○回までは職員付き添い可/それ以上は要相談」のように線引きしているところ
  • 付き添いに対して
    • 料金をいただく施設
    • 施設負担としている施設
    • 「時間帯や距離によって変える」施設 など

対応は施設によって、様々です。

過去の経験として、提携病院以外への受診の際に、家族対応である事をお伝えした際に

『なぜ家族が行かないといけないのか?』

と言う声があったのも事実としてあります。ルールは説明していても納得されない家族はいるという事。

家族様すべての方が忙しい毎日を過ごされていて、時間が無いのも事実です。今回の件では、結果的に家族対応で受診に行って頂けましたが、色々な考え方の家族様がいらっしゃります。

まとめ

介護が必要になると、その家族には大きな負担がかかってくる、のは事実だと思っています。

その中でも、高齢者は通院の付き添いは負担が大きいのではないでしょうか?

特養へ入所できれば、原則として施設職員が受診に行きますが、時には家族対応の時もありますので、事前に確認する事が大切になります。

受診は原則施設職員だが、家族対応の時もある、事を知っておくだけでも、とても重要な事だと思っております。

入所前の面談で、絶対聞いておきたい質問リスト

 特養の入所説明や施設見学の時、事前に質問を用意していると納得した時間を過ごせると思います。そこで、入所前の面談で、絶対聞いておきたいことを”質問リスト”としてまとめましたので是非活用ください。

入所前の質問集コチラ

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