【特養の費用】月いくら?介護保険の計算方法と料金の目安をわかりやすく解説特養のお金のリアル

介護

先に結論です。

特養の費用は「要介護度・負担割合(1〜3割)・居室(個室/多床室)・負担限度額認定の有無」などで変わります。

介護保険分(1割負担)の目安:要介護4の例で 約2.5万円/月(地域単価10円・加算例込み・31日計算)
居住費+食費+医療費まで含めた月額の目安:同条件で 約12.8万〜14.4万円/月(多床室〜個室、医療費1万円を仮定)

※あくまで概算です。実際の請求は地域単価・算定加算・端数処理・日割りなどで前後します。

こんにちは、hiroです。

今回はみんなが知りたいけど、あまり表には出ない、お金の話です。

介護太郎
介護太郎

・特養に入るといくらかかるの?

・1割負担って、結局どこまでが1割なの?

・介護保険は、どういう風にお金の計算されているの?

こういう疑問、ありますよね。
この記事では 「特養(特別養護老人ホーム)」に絞って、費用の考え方と目安をわかりやすく整理します。

介護保険の仕組みをざっくりおさらい

指定を受けた介護サービス事業者から介護サービスを受けると、原則として 利用者は1割負担 で利用できます。残りの 9割は介護保険(保険料+公費) から支払われます。

ただし、一定の収入がある方に関しては、2割負担3割負担になる場合があります。

※1〜3割負担は「保険給付の対象部分」の話。
※施設だと 食費・居住費・日用品費などは別途(※負担限度額認定で軽減あり)。

介護保険については、
コチラから👉【これだけは知っておきたい】介護保険制度の超基本!申請から利用までの流れを徹底解説 | 介護しよ.net

特養の費用は「3つ」に分かれる

特養の月額費用は、ざっくり次の合計です。

月額費用 = ①介護保険の費用(1〜3割負担)+ ②居住費・食費 + ③その他(医療費など)

このうち、①が「介護保険の計算(単位)」の部分です。

特養の費用が「人による」理由

特養の費用は一言で言うと、やっぱり “人による” です。

理由は、次の条件で金額が変わるからです。

  • 要介護度(1〜5)
  • 負担割合(1割・2割・3割)
  • 居室タイプ(個室/多床室 など)
  • 負担限度額認定の有無(居住費・食費が軽減される)
  • 施設の加算(体制や取り組みで加算が乗る)

ただ、特養は介護保険施設なので、一般的に 有料老人ホームより費用が抑えられやすい 傾向があります。

特養の費用の計算方法を解説

単位とは?

介護保険の料金は、サービスごとに 「単位」 が決まっています。
(単位数は国の基準で定められています)

単位は1単位=10円に置き換えられ、5単位=50円10単位=100円100単位=1000円と言う形になります。

地域単価とは?

同じ単位数でも、地域によって 1単位の“円”が少し違う のが「地域単価」です。

  • 1~7級地と「その他」で全国の市町村が分けられていて、どの市町村がどの級地かは厚労省の一覧で決まっています。
  • 介護老人福祉施設は「人件費割合③(45%グループ)」に入っていて、このグループの単価が上の10.90~10.45円などの数字。

介護保険の料金計算式

介護報酬(円)= 単位数 × 地域単価(円)

利用者負担(円)= 介護報酬 × 負担割合(1〜3割)

※この記事の概算では、イメージしやすいように 地域単価=10円 で計算します。
(実際は10円台になる地域が多く、ここが月額にじわっと効きます)

「地域単価」の例

介護保険の地域単価の例(施設サービス系:人件費割合③=45%グループ)

No自治体の例級地(地域区分)上乗せ割合1単位あたりの単価※
    1東京都23区1級地+20%10.90円/単位
    2神奈川県 横浜市2級地+16%10.72円/単位
    3愛知県 名古屋市3級地+15%10.68円/単位
    4大阪府 大阪市2級地+16%10.72円/単位
    5福岡県 福岡市5級地+10%10.45円/単位

介護報酬単位
   厚生労働省が定める基準により要介護度別に単位が設定されており、全国統一の単位となります。

地域単価
   この値は、全国の地域により、微妙に変わります。今回は、わかりやすいように1単位=10円としています。

介護報酬日額
   介護報酬単位 × 地域単価の値となります。利用者Aさんが特養で一日過ごすことでこの単位数が、特養への収益となります。

保険給付日額
   介護報酬日額の9割のこの値が介護保険で賄われます。

利用者負担日額(1割)

   介護保険は原則1割負担となりますので、この単位数を利用者が実際支払います。

利用者負担日額(2割)
   介護報酬日額の2割を利用者が実際支払います。

利用者負担日額(3割)
   介護報酬日額の3割を利用者が実際支払います。

例)特養の概算費用一覧

上記をふまえ、特養を利用した時の一日にかかる費用の一覧となります。


例)要介護4・1割負担の方が、特養を31日利用したケース

802単位(要介護4) × 10円(地域単価) =8020円

31日間利用
8020 × 31 =248620円

介護保険費用の1割負担としては、月額24,862円となります。

加算

介護保険には「加算」があります。
ざっくり言うと、施設が一定の基準を満たしたり、より良い取り組みを行っている場合に 報酬が上乗せ される仕組みです。

ここで大事なのは、加算は 「日ごと」「月1回」 が混ざること。

≪加算の例≫

例)要介護4・1割負担の方が、特養を31日利用したケース(地域単価10円)

≪加算≫
・精神科医師定期的療養指導加算 5単位/日
・看護体制加算 (Ⅰ) 4単位/日
・口腔衛生管理加算(Ⅰ) 90単位/月(※月1回)

①日ごとの加算(5+4=9単位/日)
(802+9)単位 ×10円= 8,110円/日
8,110円×31日= 251,410円/月

②月1回の加算(90単位/月)
90単位×10円= 900円/月

③合計(介護報酬)
251,410円+900円= 252,310円/月

④1割負担の支払い目安

252,310円×10%= 25,231円/月

※実際の請求は端数処理や算定条件で前後しますが、考え方はこの形が基本です。

介護保険外費用=「居室代(部屋代) + 食費」 

介護報酬(=単位数+加算)×地域単価で計算した金額は、いわば「介護サービスの総額」です。

利用者が支払うのは、そのうち
“介護保険が適用される部分(介護保険分)で、原則1割(一定以上の所得がある方は2割・3割)”となります。

一方で、”居住費(部屋代)・食費・医療費・日用品などは介護保険の対象外”のため、別に費用がかかります。

介護保険外費用とは
居室費(部屋代) と 食費 の事です。

上記を踏まえると、特養の基本的な月額費用はこうなります。

月額の目安 = 介護保険分(1〜3割)+ 居住費+食費+医療費など

※居室費(部屋代)は、個室多床室で変わり、食費は朝食昼食夕食と別れることが多いです。
※外出や外泊、受診などで食止めがある為、朝食、昼食、夕食に分かれています。

【介護保険外費用の例】(概算)

≪居室代≫

・個室:1500円/日
・多床室:1000円/日

≪食費≫
朝食:500円
昼食:800円
夕食:700円
合計:2000円/日

パターン①
≪要介護4・個室を利用される場合(一割負担の場合)≫
・医療費は、概ね10,000円と仮定
・介護保険費用は、上記の25,231円
1500円(個室) + 2000円(食費)) ×31日 =108,500円

108,500円(介護保険外費用) + 25,231円(介護保険費用) +10,000円(医療費)

 = 月額143,731円  となります。

パターン②
≪要介護4・多床室を利用される場合(一割負担の場合)≫
・医療費は、概ね10,000円と仮定
・介護保険費用は、上記の25231円
1000円(多床室) + 2000円(食費)) ×31日 =93000円

93,000円(介護保険外費用) +  25,231円(介護保険費用) + 10,000円(医療費)

= 月額128,231円 となります。

低所得者向け:3つの負担軽減制度

介護保険制度には、低所得者向けの負担を軽くする仕組みがあります。

・負担限度額認定(居室費(部屋代)・食費の軽減)
・高額介護サービス費
・社会福祉法人等による利用者負担軽減制度(社福減免)

3つの負担軽減制度の詳細は、以下の記事をご覧ください。
コチラから👉介護の3大負担軽減制度をまとめて解説 ~高額介護サービス費・社福減免~ | 介護しよ.net


特に「負担限度額認定」は 居住費・食費が下がる ので、月に数万円レベルで差が出ます。

居室費(部屋代)・食費が下がる負担限度額認定』については、
コチラから👉負担限度額認定と特定入所者サービス費の仕組みをわかりやすく解説【令和6年8月~最新版】 | 介護しよ.net

これ以外にかかる費用は?

施設によって差はありますが、よく出るのはこのあたりです。

・理髪費
・教養娯楽費
・特別食費


※特養では、おむつ代は利用料に含まれるのが一般的です。

※洗濯代や寝具代も「基本料金に含む施設」が多いですが、施設ルールで違うので、最終的には各施設の説明で確認が必要です。

重要なので整理したいと思います。

「1割負担」なのは、介護保険がカバーする“介護サービス分”だけです。
つまり、(単位数+加算)×地域単価で出した介護報酬のうち、利用者の支払いは原則 ”1割(所得により2〜3割)”になります。
ただし、特養ではこれとは別に、居住費(部屋代)・食費・医療費・理美容代などの自己負担が発生します。

最後に

最近は、特養のホームページで費用を公開している法人も増えてきました。
利用者が「選ぶ時代」になりつつあるからこそ、情報開示が進んでいるのだと思います。

この記事が、入所を考えるご家族の「お金の不安」を少しでも軽くできたらうれしいです。

★おまけ★

特養の費用の概算がわかるミニ計算テンプレを作成しましたのでこちらからどうぞ
特養費用ミニ計算テンプレ

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