認知症って何がそんなに不安?家族がまず知っておきたい「みんなのギモン」
こんにちは、hiroです。
家族の認知症やもの忘れについて、不安を感じている方も多いと思います。
- 「これってもう認知症なのかな?」
- 「治る病気なの?」
- 「どう接したらいいの?」
- 「この先、お金や生活は大丈夫?」
この記事では、そんな“みんなが気になっているポイント”を、むずかしい言葉はできるだけ使わずにまとめました。
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物忘れと認知症の違いってなに?
年をとると、誰でも物忘れは増えます。
ただ、その物忘れが 「年相応」なのか「認知症のサイン」なのか が、家族としてはいちばん気になるところです。
先にざっくりと結論から言うと
昨日の夕飯は、何を食べた?の返答に
物忘れ・・・『う~ん、なんだったけな~。思い出せない💦』
認知症の可能性・・・『え?夕飯?そういえば昨日は夕飯食べなかったわ』
物忘れは、食べたことは覚えているが、何を食べたかを思い出せない。一方で、認知症の方は、食べたこと自体が記憶から抜けていて、覚えていない事が多いです。
目安としてはこんなイメージです。
年相応の物忘れの例
- 昨日の夕飯のおかずを思い出すのに時間がかかる
- 人の名前がすぐに出てこない
- 「あれ、何を取りに来たんだっけ?」と一瞬忘れる
でも、ヒントがあれば思い出せたり、生活に大きな支障はありません。
認知症の物忘れの例
- 同じことを何度も何度も聞いてくる
- いつも行っているスーパーから家に帰れなくなる
- 今日が何月何日か分からない日が続く
- 料理の手順や、家電の使い方が分からなくなる
ポイントは、
「物忘れのせいで、普段の生活に困りごとが出てきているかどうか」 です。
認知症って治るの?予防はできる?
よく聞かれるのがこの2つです。
「治る病気なのか?」
こちらも先に結論を言うと、
認知症を完全に元に戻す薬はありません。ただし、進み方をゆるやかにしたり、症状を和らげる薬はあります。
認知症の薬と言うのは存在していて、実際に内服されている方もいらっしゃいます。しかし、完治と言う目的ではなく、認知症の進行を遅らせる意味で内服されている方がほとんどです。認知症の方自身は、その薬を内服していること自体、知らない事が多く、家族の希望にて薬が出されているケースが多いです。
大切なのは、
- 早めに気づいて
- 早めに相談して
- その人に合った生活や支援を考えること
です。
「予防する方法はあるのか?」
“絶対に防げる”方法はありませんが、
なりにくくする・進みにくくする生活習慣はあると言われています。
たとえば、
- 血圧・糖尿病などをきちんと治療する
- 軽い運動を続ける(散歩、体操など)
- 人と話す機会をもち、家にこもりきりにしない
- 趣味や仕事など、頭と体を使う活動を続ける
「心臓にいい生活は、脳にもいい」とイメージすると分かりやすいです。
私の経験上、特に下肢筋力低下が結果的に認知症の進行を早めるケースが多かったです。つまり歩けなくなり車いす状態になる事です。歩けなくなると、自由に動くことが出来なくなり、職員を呼んでもすぐに対応してもらえず。やがて、何もしない状態になり、いつの間にか認知症が進んでしまうというケースが多く見られました。
「病院に連れていくタイミング」が分からない
家族としては、ここがいちばん悩みどころかもしれません。
こんな様子が続くときは、一度相談のサイン
- 同じ質問を何度も繰り返す
- お金の計算や買い物のミスが増えた
- 通い慣れた道で迷うようになった
- 家族が「前と何か違うな」と感じる日が増えた
「認知症かどうか」を家族だけで判断するのは難しいです。
「ちょっと変かな?」と感じた時点で、一度受診や相談をしてみるほうが安心です。
どこに相談すればいい?
- かかりつけの内科の先生
- もの忘れ外来・神経内科・精神科
- お住まいの地域包括支援センター
- 認知症の専門医療センター(地域によって名称は違います)
「いきなり大きな病院に行くのはハードルが高い…」という場合は、
まず地域包括支援センターに電話で相談するのもひとつの方法です。
診断されたあと、家族はどう接したらいい?
診断がつくと、家族の戸惑いも大きくなります。
やってしまいがちだけど、負担になりやすい対応
家族が認知症になると、身内である事で強い言葉が出たり、今までとは違う行動を家族が理解できなくなることも多くなります。
例えば
- 「さっきも言ったでしょ!」と怒る
- 間違いをすぐに指摘して責める
- できないことを責めて、できることまで取り上げてしまう
家族も疲れていると、ついこうなってしまいます。
でも、認知症症状のある本人からすると「わざとやっているわけではない」のに怒られるので、心が傷つきます。
基本になる関わり方のコツ
認知症の関りで一番大切なのは、受容です。つまり、相手の言動を理解する事です。
- ゆっくり・短く・わかりやすく話す
- まず気持ちを受け止める(「心配なんだね」「不安なんだね」など)
- できないところだけを見ないで、「まだできていること」にも目を向ける
- 家の中の危険(火の元・ガス・転倒など)を減らす工夫をする
家族が“100点を目指す”のではなく、“お互いに少しラクになる工夫”を探していくイメージが大事です。
この先の生活とお金が心配…
認知症と聞くと、
- 「ずっと家でみられるのかな?」
- 「仕事は続けられる?」
- 「施設に入るとしたら、いくらくらいかかる?」
など、生活とお金の不安も大きくなります。
ここで頼りになるのが、介護保険のしくみと相談できる専門職です。
こんなサポートがあります(一例)
- 介護保険の「要介護認定」の申請
- デイサービスや訪問介護など、在宅サービスの利用
- ショートステイでの一時預かり
- 状況に応じて、グループホームや特養などの検討
具体的にどう使えるのかは、
地域包括支援センターやケアマネジャーに相談すると、
その方の状態に合わせて説明してもらえます。
まとめ:認知症は「家族だけで抱え込まない」ことが大事
認知症という言葉には、どうしても「怖い・暗い」イメージがつきまといます。
でも本当は、
- 早めに気づいて
- 早めに相談して
- 周りの人と一緒に支えていく
ことで、その人らしく暮らせる時間を長く保つことができます。
抱え込まず、介護保険制度や専門職に頼ることがとても大切です。
最後にひとこと
この記事は、
「認知症かもしれない」「もの忘れが心配」という家族の方に向けた、ごく基本的な内容です。
- 診断
- 具体的な治療
- お薬のこと
などは、必ず 医師などの専門職に相談してください。
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