介護現場の“やっちまった”3選――夜勤の後悔と学び

介護の基礎

こんにちは、hiroです。
介護の現場で働いていると、「やっちまった…!」という瞬間、誰にでもあります。
今回は、私自身が介護職として体験した“3つのやっちまった話”を正直にお話しします。
同じ失敗を繰り返さないためのヒントになれば嬉しいです。

サイドレール戻し忘れで転落――「確認」の重さを知った夜

有料老人ホームで夜勤をしていた頃のことです。
当時は38名の利用者を2名で担当していました。
その夜は珍しくナースコールも少なく、穏やかでした。休憩を終えて巡視をしていると、ベッドにいるはずの利用者が床に横たわっていました。

頭の中が真っ白になり、「どうして?」という思いでいっぱいでした。
その方は認知症があり、私に向かって「まあ、あら?」と笑顔を見せていました。
すぐに駆け寄ると、ベッドのサイドレールが外されていたのです。

最初は同僚が戻し忘れたのかと思いましたが、冷静に思い返すと、休憩前に排泄介助をしたのは私自身。サイドレールを戻した記憶がありませんでした。

「自分のせいだ」と気づいた瞬間、心臓がドクンと鳴りました。
朝になり、その方の額に青あざができているのを見た時、胸が締めつけられました。
幸い脳出血などはなく、大事には至りませんでしたが、あの時の「戻すのを忘れた」自分の判断が招いた結果は忘れられません。

この経験以来、「一つひとつの確認」を何よりも大切にしています。

「点滴しないんですか?」が招いた誤解――介護と医療の線引き

 介護施設には、必ず看護師がいます。介護は医療的な事は判断できないので、何かおかしいなと感じたら、まず看護師に連絡し、それでも判断が出来なければ、看護師がDrへ連絡するという流れが一般的です。

そういう中で、傾眠気味で食事、水分ともに進まない状態の利用者がいる時は、看護師に様子を伝え、点滴を実施する、あるいは様子を見るなどの指示をもらうことがいつもの事でした。
 ある時、上記同様で、食事や水分が進まない利用者がいらっしゃり、普段よく話をしている看護師に、

『○○さんは、点滴しないんですか?』
と提案しました

その時は看護師から『そうだね、点滴だね』との返答があると想定していましたが、
その一言を伝えた途端、看護師からの返事はなく、表情も怪訝な様子でした。
私は『え?何か悪いこと言った?』と思いながら、その場を離れました。

仕事が一段落した頃、私は看護師から医務室へ来るように言われました。
医務室へ向かうと、その日出勤の看護師が揃っていて、緊張感が漂う雰囲気でした。
そして、看護リーダーから

さっきの発言は何?あなた、何か勘違いしてない?

と強めの口調で言われ、頭の中は『?』。
続けて、
さっき、『点滴しないんですか?』って言ったの覚えてる?それはDrが決める事なの。介護職が提案する事ではないの

と言われ、そこで始めて、大変な事を言ってしまったんだ、と理解できました。
今では、自分の勉強不足、認識不足が招いた大きな失言と理解しています。
介護職は医療判断ができません。だからこそ、看護師への伝え方には注意が必要です。
当時の私は「点滴しないんですか?」という言葉に、何の違和感も持っていませんでした。
しかし、それは“介護職が医療行為を促した”発言として受け取られてしまいました。
今思えば、「○○さん、水分があまり摂れていません。看護師さんの目から見てどう思われますか?」
と伝えるべきでした。
言葉ひとつで関係性が変わる――この経験から、報告・連絡・相談の重要さを痛感しました。

“大丈夫だろう”の罠――確認を後回しにして起きた二度目の転倒

夜勤中に介護事故が起きると、メンタルが病みます。

・明日、怒られてしまう。
・申し送りでなんて言えばよいのか?
・信用失ってしまう
・自分って駄目な人間だ

などの考えに、気を取られてしまい、別な事故を起こしてしまう、という負の連鎖が起こることがあります。

今回はそのような出来事をお話しします。
これも夜勤の時でした。

 巡視中、何か物音がしたのでお部屋へ行ってみると、利用者がお部屋の中を歩いていました。
その方は普段、一人では歩かないため、慌てて向かいましたが間に合わず、目の前で転倒してしまいました。
目の前で転倒させてしまった、とやるせない気持ちになりました。バイタルを測り、ドクターコールをして「様子観察してください」という指示を受け、少し落ち着き始めた時、あることが起きました。ふと転倒された方が気になって見に行こうとした時、ちょうど他の利用者からナースコールがあり、その方のお部屋へ向かいました。ナースコール対応後に転倒した方のところへ行くつもりでしたが、

「めんどくさいし、大丈夫。大丈夫だろう」

と思い、その方のお部屋は確認せずに事務所へ戻ってしまいました。

そして次の巡視の時間になり、先ほど転倒事故があった部屋に向かうと、前回とは違う場所で再び転倒されていて、額が切れて出血していました。
ドクターコールをすると、ドクターが施設に来てくれて、傷は事なきを得ましたが、夜間帯に同じ利用者を2回転倒させてしまい、2回目は外傷があったという事実、そしてもしかしたら自分の判断ミスだったのではないかと自責の念を感じました。
「あの時、一瞬でもお部屋のぞいていれば」と、本当にやるせない気持ちでした。

転倒した明確な時間は分かりませんでしたが、もう一人の職員が巡視に行ったタイミングを聞いた所、私が『大丈夫だろう』と思い、確認に行かなかった時間帯に転倒した可能性があることが分かりました。
あの時、訪室していれば必ず防げた事故だった、とは言えませんが、もしかしたら防げたかもしれないという後悔が残りました。

この経験から、「大丈夫だろう」と思う時ほど確認することを意識するようになりました。

まとめ


冒頭でもいいましたが、誰にでも、『やっちまったなー』と言う経験は必ずあると思っています。
上記の3つはすべて、自分の判断不足や知識不足からくるものです。

失敗はしたくないですよね。

でも、私の介護人生は、失敗の連続です。
それでも、失敗を通してしか見えない景色があります。
大きな失敗は避けたい。でも、小さな失敗は学びの宝です。

「人は挫折から多くを学び、成長する」――この言葉を胸に、
今日も現場に立っています。

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