こんにちは、hiroです。
3大負担軽減の3つ目は、社福減免です。
社福減免とは何か?
社福減免とは、略称であり、正式名称は
社会福祉法人等による利用者負担の軽減制度
と言います。
この制度を一言で言うと
低所得者が開度保険サービスを利用する時、社会福祉法人として役割鑑み、利用者負担を軽減する制度 となります。
背景
介護保険で自己負担が増え、とくに2005年の食費・居住費の自己負担化で
「低所得の人が介護サービスを使えない」リスクが高まった。
そこで、税優遇を受けている社会福祉法人に、
生計困難な人の自己負担を一部肩代わりしてもらう制度として生まれたのが社福減免。
1. 介護保険で「自己負担」が当たり前になった
2000年に介護保険制度が始まって、
それまでの措置制度と違って、原則1割の自己負担が発生しました。
- デイ、ヘルパー、ショート、特養など、使えば使うほど1割分は自腹
- 低所得の人は、この1割すら重くて、サービス利用を控えるケースが出てきた
そこで「低所得で生計が苦しい人の自己負担を軽くして、利用促進を図ろう」という趣旨で、
“低所得で生計が困難な者の介護保険サービス利用者負担を軽減する”制度として要綱が作られました。厚生労働省
2. 2005年改正で、さらに負担が重くなった
2005年(平成17年)の介護保険改正で、
- 特養などの食費・居住費(滞在費)が介護保険給付の対象外になり、
- 利用者が全額自己負担する形に変わりました。
このとき厚労省の要綱でも、
特養では、食費・居住費が給付対象外になるのを踏まえ、
それらの自己負担も含めて軽減する
と明記されています。厚生労働省
つまり、
「1割負担+食費+居住費」は、低所得者にはさすがにキツすぎるよね
という問題意識が、制度創設の大きなきっかけ。
3. 「社会福祉法人なんだから、福祉的な役割を果たしてね」
社会福祉法人は、
- 法人税が非課税になるなど、税制の優遇を受けていて、
- 寄付金なども受け入れられる、「公益的な法人」という位置づけです。埼玉県公式サイト
その性格を踏まえて、
優遇されている分、
低所得で生計が苦しい人の自己負担を軽減するという
“社会的な役割”を果たしてもらおう
という考え方で、
- 「社会福祉法人等による生計困難者に対する介護保険サービスに係る利用者負担額軽減制度」
- 実施主体:市町村
- 軽減を行いたい社会福祉法人が都道府県・市町村に申し出る
という仕組みが整えられました。厚生労働省+1
軽減対象サービスは?
- 訪問介護
- 通所介護
- 短期入所生活介護(介護予防含む)
- 認証対応型通所介護
- 小規模多機能型居宅介護
- 介護福祉施設サービス(特別養護老人ホーム)
- 夜間対応型訪問介護
- 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
- 複合型サービス
- 第1号訪問事業のうち介護予防訪問介護に相当する事業
- 第1号通所事業のうち介護予防通所介護に相当する事業
- 地域密着型通所介護
※軽減を受けるには、サービス利用前に確認証(黄色)を事業所に必ず提示してください
対象外になるものはある?
社福減免の対象外になるものはあります。
〇訪問看護などの医療系サービス、
〇訪問入浴介護
〇福祉用具貸与
訪問看護などの「医療系サービス」が外れる理由(考え方)
公式に「理由」を一行で書いた文書は正直ほぼないので、
制度のつくり方から読み解くと、こんな理屈になります。
- 医療系にはすでに別の軽減制度がある
- 高額療養費、高額医療・高額介護合算制度、公費負担医療 など
→ 医療保険側でかなり手厚いセーフティネットがある。
- 高額療養費、高額医療・高額介護合算制度、公費負担医療 など
- 財源・担当が“医療保険側”寄り
- 訪問看護や通所リハなどは、介護保険と言いつつ中身は医療行為寄りで、
ドクターの指示・医療機関との連携が前提。 - ここに福祉系だけの特別軽減(社福減免)まで乗せると二重優遇になりやすい。
- 訪問看護や通所リハなどは、介護保険と言いつつ中身は医療行為寄りで、
- 社会福祉法人があまり主役じゃない
- 訪問看護の多くは医療法人・診療所が担っていて、
「税優遇を受けている社会福祉法人が、その分“公益的役割”として負担する」という
社福減免のロジックと噛み合いにくい。
- 訪問看護の多くは医療法人・診療所が担っていて、
訪問入浴介護が外される理由
訪問入浴介護自体は介護“福祉系”だが、社福減免の国基準では含まれていません。
ここも明文化された一行説明はないので、制度の性格から推測すると:
- 「日常生活の基盤」になるサービスを優先
- 訪問介護・通所介護・特養など
→ 使う頻度も高く、生活維持に直結する。
- 訪問介護・通所介護・特養など
- 訪問入浴は
- 利用頻度が週1回など比較的少なめ
- 1回あたりの単価が高い
→ 社福減免の対象に入れると、少ない人にドンと公費が出る構図になりやすい
つまり、限られた財源で
「生活インフラ的サービス(ヘルパー・デイ・特養など)」を優先した結果、枠から漏れている
と考えるのが現実的な解釈だね。
福祉用具貸与が外れる理由(”物”だから)
福祉用具貸与は、他のサービスと性格がだいぶ違う。
- サービスというより物品のレンタル
福祉用具については、
- 介護保険の給付範囲の調整(例外給付)
- 障害者制度や自治体独自助成
といった別ルートで調整する方向が取られています。串本町公式サイト+1
対象外まとめ
- 社福減免=福祉系サービス向けの特別軽減
- 医療系サービスは医療保険側・税制・公費負担で調整
- 物品レンタル(福祉用具)や特殊なサービス(訪問入浴)は
一律軽減の枠からは外して、個別ルールで対応
3軽減対象となる費用及び軽減割合
社会福祉法人等による利用者負担軽減(いわゆる社福減免)の対象となる費用は、
原則として
「介護サービスの自己負担分(1~3割部分)」と
「施設・ショートステイの食費・居住費(滞在費・宿泊費)の自己負担分」です。
ただし、特定入所者介護サービス費(補足給付)の対象外となる食費・居住費や、特別な室料・特別な食事などは軽減の対象外となる場合があります。
①利用者負担額(1割負担分)の25%(老齢福祉年金受給者の人は、50%)
②食費、居住費(滞在費)及び宿泊費の原則25%(老齢福祉年金受給者の人は、50%)
③生活保護受給者、サービスに係る個室の居住費の全額
主な対象となる人(代表的な条件)
社福減免の「対象になる人」は、ざっくり言うと
市町村民税は非課税だけど、介護サービスの利用料が家計的にかなりキツい“低所得の世帯”
細かいところは自治体ごとに若干違いますが、だいたい次のような人が対象になります。
① 市町村民税が非課税世帯であること
- 本人だけでなく、同じ世帯全員が住民税非課税
- 生活保護まではいかないけど、かなり収入が少ない層をイメージ
② 本人や同居家族の収入・資産が少ないこと
自治体ごとに基準がありますが、たとえば:
- 収入が一定額以下
- 年収○○万円以下、などのラインが決まっている
- 預貯金などの資産が少ない
- 預貯金合計○○万円以下 など
生活保護まではいかないけれど、
「普通に1~2割負担で介護サービス使うと、生活がかなり苦しくなるレベル」の人たちがイメージです。
③ 介護サービスの自己負担が家計にとって重い人
- デイサービス、訪問介護、ショートステイ、施設サービスなど
→ 1〜3割の利用者負担分が軽減の対象(保険給付の9〜7割側ではなく、あくまで“自己負担分”) - 「高額介護サービス費」など、他の軽減制度を使ってもなお負担が重い場合に検討されることも多いです。
④ 社会福祉法人等の事業所を利用していること
- 社会福祉法人が運営する施設・事業所であることが前提
- 民間株式会社の事業所では、この「社福減免」は原則使えない
(※別の独自減免をやっている事業所はたまにありますが、それはこの制度とは別物)
逆に、対象「にならない」ことが多いケース
ざっくりいうと、次のような場合は対象外になりやすいです。
- 世帯に住民税課税の人がいる
- 預貯金がある程度しっかりある
- 収入が一定以上ある(年金がそこそこ高い等)
- 利用しているのが社会福祉法人でない事業所のみ
結論をシンプルにまとめると
社福減免の対象になる人は、
① 住民税非課税世帯で
② 収入・資産が少なく
③ 社会福祉法人などが運営する事業所のサービスを使っていて
④ 介護サービスの自己負担が家計的にかなり重い人
です。
「なんとなく生活が苦しい」レベルではなく、
制度的に“低所得で、介護費用負担が相当きつい”と判断される人向けのセーフティーネット、というイメージで押さえておくと使いやすいです。
申請書
社福減免の申請書類は、ざっくりいうと
「自治体の様式」+「収入・資産がわかる書類」+「介護保険関係の書類」
のセットだと思っておけばOKです。
申請書の名前はだいたい以下のような感じです。
- 「社会福祉法人等利用者負担軽減申請書」
- 「利用者負担額軽減申請書」
- 「社福減免(介護保険)申請書」
添付書類は
①収入・資産等申告書
②本人及び世帯員等の預金通帳の写し(表紙と残額のわかる直近一年分の記載されたページ)
※生活保護受給者の人は、①、②の提出となります。
加えて、次に該当する場合は、以下が必要となります
③年金収入がある場合、年金額改定通知書または年金振込通知書のコピー
④本人及び世帯員等に給与収入がある場合、給与明細書または源泉徴収票等のコピー
⑤現在、居住している家屋の他に土地及び家屋を所有している場合、固定資産税納税通知書のコピー
⑥申請者本人が別世帯の人の健康保険に加入している場合、健康保険所のコピー
これは
市役所の介護保険課の窓口か、
社会福祉法人の事業所(特養・デイなど)の窓口に置いてあります。
実務的には
「社福減免を使えるか相談したいんですが」
と窓口で言えば、該当する様式一式を出してくれます。

参考:社会福祉法人等利用者負担額軽減・訪問サービス等利用者負担助成制度
具体的にどのくらい減額されるの?
社福減免では、
介護サービスの自己負担分(1〜3割部分)や、
特養・ショートステイの食費・居住費などの自己負担分が、
「4分の1軽減」や「2分の1軽減」といった形で安くなります。
例①デイサービス(通所介護)の自己負担が安くなる例
仮にある人のデイ利用が、1か月の自己負担合計:12,000円(1割負担)とする。
社福減免で 1/4 軽減 の対象になると:
軽減額:12,000円 × 1/4 = 3,000円
利用者の支払い:12,000円 − 3,000円 = 9,000円
もし 1/2 軽減 の自治体なら:
軽減額:12,000円 × 1/2 = 6,000円
利用者の支払い:6,000円まで下がる
例②特養の「介護サービス自己負担」が安くなる例
特養に入所していて、1か月の“要介護度に応じた介護部分の自己負担”が
1割負担で:25,000円だとする。
1/4 軽減 → 25,000円 × 1/4 = 6,250円軽減
→ 支払いは 18,750円
1/2 軽減 → 25,000円 × 1/2 = 12,500円軽減
→ 支払いは 12,500円
例③食費・居住費が安くなるイメージ
例として、特養で補足給付「あり」の人を考えるよ。
仮に:
食費:1日 600円(補足給付後の自己負担)
居住費:1日 820円(補足給付後の自己負担)
合計:1日 1,420円 → 30日で 42,600円
これに社福減免が
1/4 軽減 とすると:
軽減額:42,600円 × 1/4 = 10,650円
利用者支払い:42,600円 − 10,650円 = 31,950円
1/2 軽減 なら:
軽減額:42,600円 × 1/2 = 21,300円
利用者支払い:21,300円
具体的な金額は、利用しているサービスの種類・回数や自治体の軽減割合によって異なるため、
実際の軽減額は、市役所やケアマネジャー・施設相談員に試算してもらうのが確実です。
まとめ
低所得者向けの負担軽減制度を3種類見てきました。
①高額介護サービス費
②特定入所者サービス
③社会福祉法人等による利用者負担の軽減制度
②と③については、申請すれば必ず通るというわけではありませんが、知っていればかなりの負担軽減になると思います。
介護現場で家族とお話をすると、意外と知らない方がいらっしゃるため、ここで是非覚えていただければと思います
また、上記の3つの制度は、
②特定入所者サービス費
↓
③社会福祉法人等による利用者負担の軽減制度
↓
①高額介護サービス費
の順で併用ができます。
認定されれば、かなりお得に介護サービスを利用できますが、あくまでも低所得者向けの制度ですので、申請すればOKではないという点にだけご注意くださいね
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