負担限度額認定と特定入所者サービス費の仕組みをわかりやすく解説【令和6年8月~最新版】

制度の解説

施設に入ると、介護サービス費よりも保険外サービス「食費」「居住費(個室の部屋代など)」のほうが家計を圧迫しやすい。
ある施設のだが、居室代が約900円/日、食費が約2000円/日となる。これが31日となると、それなりの金額になってしまう。
そこを国がサポートする仕組み。

食費と居住費の軽減を受けるには、まず市役所で「負担限度額認定証」を取得する必要があります。
この認定証を持っている方だけが、特定入所者サービス費(いわゆる負担限度額制度)を利用できます。

認定の段階によって、食費と居住費の上限額が決まり、施設で支払う実費がその上限まで引き下がります。

目的

低所得者の食費・居住費負担を軽減し、施設利用のハードルを下げるため。

介護サービスの自己負担そのものではなく、生活費部分の負担を減らすのが目的。

特定入所者サービス費とは?

特定入所者サービス費とは、負担限度額認定証を持っている方に対し、食費と居住費の“超えた分”を保険から補填する仕組みです。

認定証が「入口」、特定入所者サービス費が「実際にお金が軽減される出口」。
仕組みとしてはとてもシンプルです。

認定証の段階に応じて、

・食費の上限
・居住費の上限

が決まり、その上限額を超えた部分を保険が負担します。

映画で例えると
「割引券を持っている人だけが割引料金で映画を見られる」という構造と同じ。
認定証が“スイッチ”で、特定入所者サービス費は“割引が発動する仕組み”です。


負担限度額認定とは?

施設利用時の食費・居住費を軽減するための“資格認定”です。
認定証が無いと、制度の対象に該当する方でも軽減は一切されません。

特養・老健・介護医療院・ショートステイは、介護サービス費とは別に食費と居住費の実費が必要になります。
この負担が重くなりすぎないように、所得の少ない方に軽減措置を用意しているのがこの制度です。

補足給付(ほそくきゅうふ)

特定入所者サービス費や負担限度認定を見ていると、『補足給付』という言葉が出てくる。
補足給付とは、特定入所者サービス費の正式名称のひとつ。

ここが一番ややこしいところだが、

“補足給付”というのは……

特定入所者サービス費の中身(実際のお金)そのもの。

つまり、
制度の名前:特定入所者サービス費
給付の名称:補足給付
という関係になっている。

行政文書ではよく 「補足給付(特定入所者サービス費)」 と並べて書かれている。

● 何を“補足”する?
食費・居住費のうち、
負担限度額を超えた部分。

● 対象は?
所得が低い=住民税非課税の方
※細かく段階は第1〜第3②

3つの違いを一言でまとめると
負担限度額認定(入口)
→ 軽減を受ける資格があるかどうか。認定証をもらう。
特定入所者サービス費(制度)
→ 食費・居住費の上限が決まる“仕組み”。
補足給付(実際の給付)
→ 上限を超えた分を保険が負担してくれる“お金そのもの”。


✔ さらに短く言うと…

認定証=割引券
特定入所者サービス費=割引制度
補足給付=実際に割引される金額

と考えるとわかりやすいかもしれない。

対象となる方

基本は「本人または配偶者が住民税非課税」であること。

さらに年金額・所得・預貯金額で段階が決まります。

● 第1段階:生活保護 or 老齢福祉年金
● 第2段階:住民税非課税・年金80〜120万円
● 第3段階①:住民税非課税・年金120万円超
● 第3段階②:課税だが所得が低め+預貯金要件
● 第4段階(一般):軽減なし

※重要
子どもの収入や資産は判定に一切関係ありません。
家が立派でも関係ありません。

あくまで 本人と配偶者のみ が対象です。


軽減されるサービス

対象となるのは“施設系サービス”。

・特別養護老人ホーム
・介護老人保健施設(老健)
・介護医療院
・ショートステイ(短期入所)

在宅サービスは対象外です。

軽減の対象費用は、介護保険外の
① 食費(1日)
② 居住費(部屋代・1日)

の2つだけです。

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居室代・食費の負担限度額(1日)

段階が低いほど負担が少なくなります。

区分 食費(1日) 多床室 従来型個室 ユニット型個室
第4段階(補足給付なし) 施設の実費 900円 1,500円 1,971円
第3段階② 1400円 400円 800円 820円
第3段階① 600円 400円 800円 820円
第2段階 390円 400円 500円 820円
第1段階 300円 0円 320円 820円

負担限度額=値引き後の“支払上限” と考えると理解しやすいです。
※上記の表は正確なものではなく、概算の金額です。

こちらも参考に→補足給付(低所得者の食費・居住費の負担軽減)の仕組み(令和6年8月~)より引用

軽減のイメージ

例①:ユニット型個室の食費

通常:食費2,000円/日
第2段階の方は…

利用者:390円/日のみ
差額:1,610円/日

:特養の従来個室代

通常:居室代1,500円/日
第2段階の方は…

利用者:420円/日のみ
差額1,080円/日軽減

差額は補足給付が負担し、月3万円以上軽減も珍しくないです。


申請方法

市役所の介護保険担当窓口で申請します。

≪必要書類の例≫
・本人と配偶者の収入がわかるもの
・預貯金の残高証明(通帳コピーなど)
・マイナンバー
・印鑑(自治体により不要)

申請後、審査を経て「負担限度額認定証」が交付されます。
有効期間は毎年7月31日まで。

途中で取得しても、翌年7月31日で一旦期限が切れます。

≪介護負担限度認定証≫

参考資料
介護健康福祉のお役立ち通信 
【最新】介護保険負担限度額認定証とは 居住費と食費を4段階で減額 

よくある質問

● 申請したら誰でも安くなる?
→ 住民税非課税でないと対象外。

● 子どもの収入は関係ある?
→ 完全に無関係(本人・配偶者のみ)。

● 認定証を持っていれば自動で軽減される?
→ 認定証は資格。実際の軽減は特定入所者サービス費。

● ショートステイは先に軽減できる?
→ 認定証が出るまでは軽減不可。遡及なし。


まとめ

負担限度額認定は、
施設の食費・居住費を大幅に軽減するための制度 です。

・まず認定証を取得する
・対象は住民税非課税
・子どもの収入は関係なし
・特定入所者サービス費とセットで機能する

食費と部屋代は毎日発生するため、月単位では数万円以上の差が出ることも珍しくありません。

施設入所やショートステイを利用する可能性がある場合は、早めの申請が安心につながります。
一度、自分が対象かどうか相談してみる価値があります。

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